青空の約束 ~先輩と私の初恋~

謎のイケメン

…あるわけない。あれほど自分に言い聞かせていたはずなのに、結局あまり眠れないまま朝を迎えて、いつも家を出る時間の40分前に出てしまうというある意味の奇跡。


「やっぱり気になるよなぁ…」


鍵のことが気になりながらもいつもの直線の道のりをゆっくり歩いてると、あることに気がついた。


「…この道って、こんなに綺麗なんだ」


ほぼ毎日のように学校まで走っていたことで、通り道の景色を見る余裕なんてなかった。


朝は苦痛だらけ。もっと寝ていたいのに無理やり重い体を起こして学校や仕事に行かなきゃいけない。だから朝は好きじゃない。


そう思っていた私にとって、今見ているこの景色はとても綺麗で、空気が良くて、清々しい気持ちになれる。


今まで気がつかなかった私にこの機会を作ってくれたのも、鍵を落とした人のおかげかもしれない。


その人に感謝しなきゃね。


そう思うとなぜか心が落ち着いた。