青空の約束 ~先輩と私の初恋~
「白石吹季っている?」
どっかで聞いたことのある声の持ち主は、私たちクラスのドアの入り口に立ち止まった。
その姿が目に入ると、やっと落ち着いてきた心臓がすぐさま加速する。
「今、白石吹季って言ったよね?ねぇ、吹季を呼んでるみたいよ…!」
興奮気味の那月が私の肩を叩きながら何か言ってるようだが、今頭の中には何も入ってこない。
とにかくバレないようにと机に伏せる状態で頭を下げて隠れる。
「吹季を探してるみたいだよ。早く行った方がいいんじゃないかな?」
「いや、私じゃないと思う…」
亜子に聞こえるように小声で伝える。
どうか早く立ち去って…
でもそう思ってたのもつかの間。
「あ、いた」
その声とともに徐々に近づく足音。