青空の約束 ~先輩と私の初恋~
「これ、あんたのでしょ?」
私たちの机の前に立ち止まると、その人は手に持っているカバンを差し出す。
男女問わず教室にいる生徒や違うクラスから見に来た子たちが廊下に集まっていて、鋭い視線が私たちに向けられる。
今、カバンを受け取るべき?いや、こんなたくさんの人に見られてる中で…無理無理!!
「無視?白石吹季」
男の人が私の名前を呼んだ途端、その場にいた女子がキャーと騒ぎ出す。
その悲鳴に驚いてつい顔を上げると男の人とバッチリ目が合った。
「あっ、…どうも」
なぜか意味不明な挨拶が口から出てしまい、とにかく笑っとこうと不自然に笑顔を作ってみる。
隣にいる那月と亜子は目を大きくして口を開けたまま、驚いた表情で私と男の人を交互に見ていた。
「これ、あんたのでしょ?」
「ど、どうも。ありがとうございます…」