青空の約束 ~先輩と私の初恋~




「カバン忘れてるのに気づかない人っているんだね」


男の人がふと一瞬だけ見せた笑顔。


さっきまではイケメンだけど近寄りがたいオーラで、少し怖い印象だったのが

今一瞬だけ見えた笑顔は、どこか優しくて、この人の性格が出ているような気がした。


わざわざ教室まで来て、私のカバンを届けてくれたんだ。


本当は優しくて、いい人なのかもしれない。


「わざわざありがとうございました」


「別に。また会うかもしれないし」


「…え?」


また会うって、どういうこと?

そう聞こうとしたが、その前に廊下の方へ歩いて行き、男の人が教室を出ようとしたとき急に私たちのところを振り返り


「" あの約束 "、ちゃんと守れよ?」


そう言ってフッと笑うと、後ろからついて来る女子のことは御構い無しに、颯爽と教室を出て行った。



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