青空の約束 ~先輩と私の初恋~
「起きてる?今ね、バイト先の響子さんから食べて元気だしてねってパンとかたくさん持ってきてくれたの。下で一緒に食べましょう」
ママが手からぶら下げているのは、かすかに透けて見えるパンやクッキーが入っている大きな袋。
バイトも学校と同じく長い間休んでいて、響子さんからも電話で " 元気になったら戻っておいで " と言ってくれた。
「お礼言わなきゃ…!まだ近くにい…」
「響子さんはお店が忙しいみたいで、持ってきたのは別の人よ。すんっごいイケメンだったわ〜!響子さんの息子さんだって!」
この場にパパがいたら悲しむであろうと思わせるくらい、目をハートにして女子高生のようにキャッキャと喜ぶママ。
「吹季はバイトの時に見たことないの?」
「息子さんがいることも知らなかったよ。ママがそんなに嬉しそうなんだもん、私も見て見たいなっ」
一階に降りたあとも興奮が収まりきれないママは、食事中もずっとイケメンお兄さんの話ばっか。
口が止まらないママに、ちょっとテンションの低いパパと、特に興味もなく黙々と食べ続けるお兄ちゃん。
そんな光景がなぜか面白くて笑えてくる。
今日一日でかなり元気をもらえたような気がした。