青空の約束 ~先輩と私の初恋~




「ここ、だよね…」


ある部屋の扉の前に立つ。

チャイムを鳴らすだけなのに震えてしまう手と、ものすごい速さで聞こえてくる心臓の音。


立ち始めて数分、大きく息を吸い落ち着かせるとボタンに手を伸ばした。


一回、二回…


絶対にチャイムは鳴っているはずなのに出てくる気配はない。


「倒れてないよね…?」


急に怖くなり三回、四回、五回と鳴らしたとき


「…うるさい」


ゆっくりと開いたドアの向こうから出てきた先輩本人と、小さく聞こえた先輩の声。


「先輩…!?心配しましたよ…!!」


「何でいんの?…ここ誰から聞いた?」


「それはっ…、って先輩大丈夫ですか?」


いつもと違い、真っ赤な顔に呼吸が乱れていて、本当にだるそうに壁にもたれかかる。


もしかして…そう気づいたとき、私の勘は的中した。



< 51 / 96 >

この作品をシェア

pagetop