青空の約束 ~先輩と私の初恋~




「お互い様ってことにしときましょっ」


なんとか笑って誤魔化す私に先輩が自分の携帯を差し出す。


「俺の番号。登録」


「い、いいんですか?」


「親と数馬しか知らないスーパーレア物。絶対勝手に誰にも教えるなよ」


スーパーレアと聞いてただの番号がキラキラと輝いて見えてしまう。


登録した番号を確認して携帯をポケットにしまい、下校時間になる前に先輩の家を出る。


「じゃあゆっくり休んでてくださいね。元気になったらまた学校で」


「いろいろありがと。でも家と番号は絶対…」


「秘密ですね、わかってます!」


「そういえばテスト近いけど勉強してんの?」


テスト…の存在自体を忘れていた。
さすがの自分に呆れてしまう。


「忘れてたって顔だな。教えるよ、今日のお礼。だから四階のあの部屋に来て」


「いいんですか!?行きます!お願いします!」


先輩と新たな約束をしてその場を後にした。



< 56 / 96 >

この作品をシェア

pagetop