青空の約束 ~先輩と私の初恋~




「申し訳ない…って思ったでしょ?吹季は何も悪くないよ。ただ私たちが言うタイミングを逃しただけ」


「今、聞きたい…!」


悪い姿勢を直して背筋を伸ばし、耳の穴を大きくして傾ける。

その光景に硬かった二人の表情が一瞬で笑顔に変わった。


笑ってくれてよかった…


少しだけ重たかった雰囲気がいつもの私たちの色へと変わり、話しやすい空間を作り出す。


「私ね、元彼のことが忘れられなくて、今でも好きなんだ…」


那月が好きな人は、元彼だった。


中学二年の頃にお似合いだからって周りの押しでなんとなく付き合い始めた那月と彼。


お互いに好きだとは言わなかったが、一緒にいる時間が増えていくと徐々に那月は彼に惹かれていった。


どこにでもいる普通の恋人のように過ごして半年、三年生に上がった二人は別々のクラスになったことがきっかけで会う機会が自然に減っていき


自然に始まった恋は、自然に終わってしまった。



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