青空の約束 ~先輩と私の初恋~




「でも今になって気づいたんだ…」


始まりはどうであれ、あのとき私は
本気で彼に恋してたって。


「那月…」


初めて見る今にでも泣きそうな那月の切ない姿。


「高校も離れたけど、でもそばにいたくて。だから最近始めたバイトも彼のいる居酒屋を選んだの」


「そうだったんだ…!彼とは話したりするの?」


「んー…業務の話だけかな。やっぱりまだなんか気まずくて」


話が終わると苦笑いの那月が亜子に視線を送る。それにつられるように目をパチパチさせて亜子を見つめた。


「わっ、私?…あ、私は…小さい頃から一緒だった幼馴染が好きで…」


亜子の好きな人は、幼馴染の人だった。


物心ついた頃には親同士が仲が良くて、家も隣で、学校も一緒で、習い事も一緒の教室だった。


小学校、中学校に上がるにつれて彼のことを男として意識するようになり、好きなんだと気づいた。


でも告白する勇気はなく、もしフラれたら幼馴染にも戻れないかもしれない。

そう考えるとなかなか一歩が踏み出せず、気がつけば高校生になっていた。



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