青空の約束 ~先輩と私の初恋~




「吹季、私は元彼と復縁できる可能性はほぼないし、亜子の幼馴染の人は彼女がいるから付き合うなんてできない。今更あのときこうしてればよかったって後悔しても遅いの。だから吹季には…」



" ちゃんと正直に先輩と向き合ってほしい。
私たちみたいに、後悔してほしくないから "



「まぁ、諦めたわけじゃないけどね。一緒にいたいって思ったから、同じバイトを選んだもの」


「私も。彼に彼女ができたとしても、好きなのは変わらないから…」


周りの人の騒がしい声が一切耳に入らないほど、那月と亜子の話にすべての感情を持っていかれているようだった。


「…二人とも強いんだね。……うっ…」


「え、泣いてるの?ちょっとー、私が辛くて泣きたいのになんで吹季が泣くのよ〜」


「…大丈夫?!こ、これ使って?」


亜子から受け取ったハンカチを隅々まで涙と鼻水で使い切ると三人で目が合い、円になっている輪の中は笑いに包まれた。


「ねぇ、一つ聞いてもいい?那月はその付き合った彼と一緒にいてドキドキとかしたの?」


「なに〜先輩と一緒にいてドキドキしてるんだ〜?そりゃ、何もかも初めての相手だったからね」


「何もかもって?」


「そこまで聞いちゃう?それは…」


聞いた自分が恥ずかしくなるほど那月のエピソードはリアル感があって、私と亜子は熱くなった顔を手で隠した。



< 64 / 96 >

この作品をシェア

pagetop