青空の約束 ~先輩と私の初恋~
「あの…須賀先輩って最近帰ってきましたか?お店が閉まったあととかに…」
直接親に聞くって変な感じだけど、どうしても知りたかった。
もしかしてあのことで会うのが嫌だから私がいないときに来てたんじゃないかって。
もしそうだとしたら、嫌われちゃったかもしれないってね…
「来てないのよ〜!夏休みなのに一度もね。バイトが忙しいんだと思うけど、休みくらい帰って来てもいいのにね」
「バイト…してるんですか?」
「そうそう、一人暮らしするようになってから家賃は自分で払うからってバイトを始めたの。…接客業って言ってたかしら?」
先輩もバイトしてたんだ。
いろいろ先輩のことがわかってきたと勝手に思っていただけに、軽いショックを受ける。
バイトしてるって知ってたらテスト勉強のとき、放課後に遅くまで付き合ってもらわなかったのに…
「ねぇ吹季ちゃん、飛鳥とよく学校で会ったりする?あの子お昼とかちゃんとご飯食べてる?」
男の子でも母親は常に心配で気になるんだ。
だからすぐに、大丈夫ですよ!と返事をしたいのに頭に思い浮かぶのは先輩の家に行ったときの綺麗なままのキッチンと、スカスカの冷蔵庫。
響子さんが心配する気持ちがわかるように、私も先輩のことが時々心配で不安になる。