青空の約束 ~先輩と私の初恋~
「学生さんを雇うのは初めてだから、何か行事だったり予定があるときは遠慮なく言うのよ?ちゃんと調整するからね」
「ありがとうございます」
働き始めて一週間が経ったとはいえ、メニューやレジなど覚えることが多すぎて毎日メモ帳が手放せない日々。
慣れて来たら自分で飲み物を作って出したりするらしいが…不器用な私は想像もできない。
「じゃあお客さんが少ない今のうちにメニュー覚えましょうか。実はね、簡単に覚える方法があってね…」
メニュー表を見ながら響子さんが一つずつ詳しく説明していく。
すかさずポケットからメモ帳とペンを取り出したそのとき、さっき学校の廊下で拾った鍵が一緒に出てきた。
「そういえばこれ…」
すっかり忘れていた鍵の存在。
持ち主の人は今頃探してるに違いない。
今してもしょうがない心配と持ち主の人がこのお店に来てついでに返せたり…なんて、ありえない期待をしながら鍵をポケットに戻した。