君は僕のもの
…何故か最近の樹くんは、やたらとあたしへの接触が多い。
やっぱり。
好きな人に触れられたりすれば誰だってドキッとする!
…だからあたしの毎朝は、
はっきり言って気が気じゃないのです。
「む、…迎えにきたなら、リビングで前みたいに待っててくれれば…、いいじゃんっ…?」
最後の方は何か弱気で疑問系。
樹に対して強気でモノを言えない、それが桐島愛梨という生き物。
「…は?
俺に、リビングで待ってろって言うわけ?」
『俺に』ではなく『この俺様に』と言っているように聞こえるのは、きっとあたしだけであるように…
少しばかり願う。
それよりも朝一でこの人を不機嫌にさせてしまった。
それが何よりの失敗であって失態。
「だ、だって…、
毎朝こんな起きた瞬間に樹がいたりしたら、その…
あたしの心臓がもたないよ…っ
死んじゃうよ?あたし、」
本当にまったくだ!!
こんな美形の男が、ましてや好きな人が…
朝、起きて目の前にいたら誰だって…、うわっ!?ってなるでしょ?
「そんなんで死なないから」
樹はクスッと笑って立ち上がると、そのままドアの方に向かった。
「さっさとしないと先に行くから」
と一言だけ残して出ていった。
相変わらず彼のドSっぷりは、変わらないまま。
でも少しだけ優しい意地悪も増えた…と、思うのはきっとあたしだけ?
あ、…うん、あたしだけですか。