君は僕のもの
「…なぁ、今度どっか行く?」
お昼休み、珍しく屋上ではなく中庭でお昼を樹と食べている時、
突然こんなことを言った。
…あの、樹が!!!
どっか?
え、もしかしてこれって…
デートのお誘い!?
だよね?うんっ!…そうだよね!!
「聞いてる…?」
あまりにも頭の中の有頂天なあたしが話を全く聞いてなかったようで、
ちょっと不機嫌な顔をして樹はまたお昼のパンを口に運ぶ。
頭の中だけで舞い上がっても意味無いじゃん!
「う、うんっ!
行くっ!!…行こう、うん!行こうっ」
「…っふは、そんなに言わなくても一回でいいから」
クスクスと笑いながら樹はあたしの唇に指で触れた。
それは優しく。
んっ…、
思わずビクッと反応して、チラッと樹の顔を覗きこむ。
「分かりやすい反応、
ほら、ご飯粒つけてる、…アホ」
あ…、あぁ!
あたしの唇についていたらしき米粒を指で取ると…、そのまま口に入れてしまった。
はぁ…、し、心臓が…っ。
「んーっ!!」
ポカポカと樹の些細な仕草だけで火照ってしまいそうなあたしは、
そう言ってまたおにぎりを口に含んだ。