君は僕のもの
「あーっ!!怒られる!殺される!」
ギャーギャー叫びながら一階へ向かって階段を駆け降りる。
結局アレだ。
何度も何度も部屋にある全身鏡を見て、こうじゃない…、あぁじゃないとしているうちに、
ここまで時間が経ってしまったわけでして。
「あらあら、
…いっちゃん、もう来てるわよ?」
お母さんはそう言って、あたしとは違う方向にいる誰かに微笑みかけた。
あ゙…、
「お前さぁ、時間に余裕…持てないわけ?」
呆れたようにそう言って、コップに入った何かを飲んだ。
…絶対にコーヒー牛乳だろうな。
とか、思ってみたりしながら。
「あっ!…っ」
そう言って洗面所に向かって、コテを温める。
「別にいいじゃん、そんなの」
鏡越しに見える樹の姿。
っ?!
いつからそこに!?!?
「駄目なのっ!
…初めてのデートだよ?」
そうだ!!
好きな人ととの初めてのデートで、適当な格好でいいなんて人がいるわけないじゃんかっ!
可愛く、したいもん。
「髪の毛、くるくる巻くんでしょ?
その…、コテ?ってやつでさ」
思いがけない樹の言葉に少し驚く。