君は僕のもの
何だかんだ樹の言う『くるくる』は他の人が言うものより遥かに…
可愛かった。
とか自惚れてみたりして、
「そうだよっ
…これでね?こーやって髪をはさんで、…っ、こんな感じ」
あたしはコテが温まったのを確認すると、
不思議そうに見ていた樹に髪を巻くところを見せてあげた。
案の定、
樹は不思議そうに見ている。
「女って色々あんだな」
ポツリとそう呟くと、そのままあたしが髪を巻いているのをジーッと隣で見ている。
そんな樹の珍しい姿にあたしも無意識に笑ってしまう。
「…それより今日は、どこに行くの?」
「…ん、映画でも行く?」
壁に寄りかかりながら、チラッとだけ樹はあたしを見た。
何かそれだけでも心臓は少し速くなる。
「あっ!
…あたし観たい映画があるのっ!」
「じゃぁ、それでいいよ」
少しだけ柔らかく笑って樹は洗面所から出て行った。
あたしあの映画観たかったから…
すっごい楽しみだぁ〜!
それに、樹がいいよって言ってくれるなんて…
うれしー!!!
コテの電源を切って、コード抜いて束ねると、
あたしは、急いでリビングに向かった。