君は僕のもの
「俺は観たくない、」
「…観たいっ!!
ずっと、ずっと楽しみにしてたんだよっ?」
やっぱり珍しくコイツは俺に反抗して言うと、
俺から身体を背けて不満そうな顔をする。
なに…?
そんなに?
「…ったく、」
俺はそう言ってチケット売り場に行くと二枚、そのくだらない映画のチケットを買った。
後ろでは、ポカンとアホ面でこっちを見ているアホ女が一人。
「ん、観るんでしょ?」
付きつけるように、愛梨にチケットの一枚を手渡す。
我ながら、素直じゃないな…、なんて。
「…あ、…ありがとう」
俺がいきなりこんなことしたから、驚いてんだろーな。
「反応、薄っ」
「だ、だって!!さっきまで嫌っていってたのに…、
でも、うん!ありがとう!!」
急に愛梨の表情が変わって、満面の笑みで俺に笑い掛ける。
…そんな顔されたら、
やっぱ観てもいいかな。
なんて、思ってしまう。
「ホラ、行くよ?」
そう言って差し出した手を愛梨が嬉しそうに握る。
何か分からないけど、嬉しい?そんな気持ちになった気がした。