君は僕のもの




「…このあとどうする?」

歩きながら樹はそうあたしに聞く。



「ん〜っ、
行きたいところあるかも?」


「何で疑問形なわけ」


クスッと笑いつつあたしの顔を覗きこむ。

その樹のドアップに一瞬だけ、照れが生まれてしまう。



それよりも、ね?


…絶対に嫌だって言うんもんっ!





「…嫌だって、言わない?」


「んー、分かんない…、言ってみ?」


樹は絶対にすぐに『いいよ』だなんて言わない。

何故ならあたしがロクでもないことばかりいつも頼むから、そうなっちゃったのかもしれないけど。


…あ、もともと最初からそういう性格なんだろうけど。ね?



「あの…、あたしね?
樹と、プリクラ撮りたいの!」


考えて考えた結果。

言い切った!という達成感に浸るあたし。



「俺…、写真とかそういうの好きじゃないんだけど」


不機嫌では…、ないけど『嫌』ってオーラが全面的に出ているような気がする。

…仕方ない。


こうなることは予想通りだったんだから、



「だよ、ね…?いいやっ!!家帰ろーっ」

やっぱりあたしは弱い。


何かこう、長いもには巻かれろ?
そんな考え方なのかもしれないけれど…



家に帰ろうと、樹と繋がっているその手を引くようにしてあたしは歩き出して、


でも突っかかるようにその後ろの樹が。…動かない。


あ、あれ…っ?


「いいよ、別に」


「っへ?」


意外な言葉に少しまた驚く。
いや、とてもかなり驚いてるのかもしれない。


何か今日の樹は、変なくらいに優しい気がして…、
ちゃんとあたしのしたいこと一緒にしてくれるし。

だから調子が狂っちゃうなぁ…


「素直に喜んでよ、何で?とかどうして?は無しだからね」


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