君は僕のもの
…少なくとも睨みつけてるのはアナタ達でしょ!?
なんて、そんなこと口では言えないくせに心の中で文句を言うあたし。
きっともし話し掛けられたりしたら、あたしは謝っちゃうだろうな…
そんなことを考えつつ反射的にあたしは、樹の服を掴む。
「ん?」
疑問符を浮かべながらそう言って、
不思議そうにあたしの顔を覗きこむ樹。
「…あのね、」
それだけ言って、言葉に詰まる。
「ううんっ、何でもない」
ここでこんな命取りな発言はしては、いけない。
それに怖い…!!女の子たちが。
そして若干、後ろに意識を集中させる。
「何なのあれ、見せつけてんじゃね〜しっ、」
「まぢ嫌なんだけどー」
あー、
なんて性格のひねくれた女の子達だ。
そんなあたしに気付いたのか…
「ははっ、気にし過ぎ」
結局はあたしがいつ何を考えてるかなんて、
樹にはお見通しみたいで。
樹の大きな手があたしの頭に優しく触れて、撫でてくれる。
「だって…っ、」
「あ、順番きた」
まだクスクスと笑って、そのままあたしの背中をそっと押して、
ちょっとまだ納得がいかない感じで。
けど樹に促されるまま中に入って行った。