君は僕のもの
「ふははっ!!
樹、どこ見てるのー?」
あたしは樹の部屋でさっき撮ったプリクラを見ながら笑う。
何だか笑いがなかなか止まらないの、何か。
「ウザ」
一言だけそう言うと、
樹はゆっくりとベッドに座った。
顔を見る限りかなりの不機嫌顔。
「…ごめんごめん」
やっぱりまだ緩んでしまう顔を抑えながら、あたしは樹の隣に座った。
「つか、疲れた」
「疲れたねっ、…でも楽しかったぁ!!
亮の映画観れたしさ?樹とプリクラ撮れたしっ」
自然と自分の顔が再び緩むのを感じながら、もう一度だけ今日撮ったプリクラを見る。
でも…
やっぱり樹は格好良い、
でもその本人はあんまりそういうことに関心を持たないから、
いや、持たないっていうか…?
なんなんだろう?
「つか、あの映画…
何なの?あの臭いセリフ」
あたしが買ってきて机の上に置いておいた今日観た映画のパンフレットを見て、
その顔はとても嫌そうだった。
「…セリフってあの亮が言ったのでしょ?
何で〜?全然いいじゃんっ!あのセリフって映画の宣伝のCMでも使われてたんだよ?」
亮の話になると何故かテンションが上がって、熱くなってしまうあたし。
「は?」
それと反比例して樹の熱はぐんと冷めて下がっていく。
馬鹿にしたような顔でそう言う樹。