君は僕のもの
…樹side




「そうなのかもしれない…っ」


顔を赤らめてそんな事を言う愛梨に、
思わず“可愛い”なんてことを思ってしまった。



「ふはっ、…何か素直」


「す、素直って、だって樹が格好良いから…」


「何でそんな不機嫌なの?」


そう言って愛梨の髪をまた再び触る、

愛梨のもともと長い髪が昔に比べてまた少し伸びて、
その愛梨の髪を見てると何だか触りたくなるから困る。


…それに、愛梨の反応が面白い。



「だって…嫌だもん、
好きな人が色んな女の子に格好良いとかさ?

…その、告白とかされてりするのは」


「ふはははっ…」



自分でも珍しいな、なんて思うけど俺は吹き出して笑った。




「何で笑うのっ?
あたしは真剣に言ってるのにっ!!」

ちょっとムッとしながら俺から目を逸らすと、身体も反対の方向を向きだす。


それでも自分は焦る事も、愛梨のご機嫌を取る事もない、



ただ愛梨のことを見て笑い続ける。




「つか何でそんなに嫌なの?…俺が他の女にいっちゃうとか思ってるの?」


さっきよりは収まったけど、まだ半笑いのままの俺は愛梨の顔を後ろから覗いて、



「…っ、」


「黙ってちゃ分からないよ?」

まだ俺に背を向けて下を向いたままの愛梨に、
後ろからまた問いかけて、でもまだ不満そうな感じで。


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