君は僕のもの
「あたしがパシリやすいから…?」
「…言わない」
これは『言わない』ではなくて『言えない』のかも。
つーか、言う気も更々ないんだけどね。
“自分の傍に愛梨を置いておく方法がこれしか思いつかなかった。”
…なんて、
こんなガキみたいなこと、言えるわけないし。
それに自分の自己中心的な性格も混ざってるのかもしれないけど…
「どうしてぇ?」
しつこい。
「大丈夫、嫌な意味はないから」
何が言いたいのかも分からないけど、一応そう言っておいた。
すると急に愛梨は動きだして、
「…離れないでね」
急にこんなことを言って俺の背中に腕をまわし、ギュゥっと抱きついてくる。
「…っ、どうした?」
無意識に何も考えずに口から驚きを表すような、そんな言葉が出る。
「何か…、不安になった」
俺の胸に頬を擦りつけるような猫みたいな動物的な感じで、
顔を埋め俺の顔を見上げる。
そんな不安な表情の愛梨に少しだけ心臓が速くなって。
でも常に俺は“冷静”で“余裕”でいたいから態度には絶対に出さない。
…出したくない。