君は僕のもの
「もーねっ!?
…ほんっとにあり得ないんだよ?アイツ」
いつもよりご立腹な美菜が睨みつけた視線の先には…、やっぱり予想通り翔太くんがいた。
そしてその視線に気づいたのか翔太くんが何かに怯えるような、そんな表情をする。
…あぁ、
思っちゃいけないかもしれないけど、翔太くん可哀想。
「…翔太、くん…?」
いつもの癖で何故か疑問符が浮かんでしまう。
「そう!もうね?ほっんと、有り得ないんだよ!」
美菜の口からそれあり得ないんだよ」って、もう何回も聞いた気がする…。
とにかくあり得ないことらしい。
「何があったの…?」
「なんかこないだねっ?今度の夏祭りの話をしてたの、
…そしたら!そしたらね!?バイトとか言ってんの!前から約束してたのに…っ」
そりゃぁ…
約束してたのにバイト入れちゃう翔太くんも、…翔太くんだと思うけど。
「今からシフトとかどうにかならないの?」
「それあたしも言ったのに、
…もう今週だから無理とか言っちゃってさ、何?って感じじゃないっ!?」
あー、本当に美菜怒っちゃってる感じ。
でもあの翔太くんが美菜との約束を破るようには思えないなぁ…、
もしかして何か理由でもあるんじゃないか、な?
そんなことを思ってると寝ていたはずの樹が起き上がって、
ゆっくりとアクビをしながら背伸びをした。
「ふあぁ…っ、…早川の誕生日、今月なんでしょ?」
急に樹はそんなことを言う。