君は僕のもの
「だ、だから何よ?」
相変わらずツンケンした感じで言うと、樹のことを思いきり睨みつける。
そんな樹に対して怒らなくても…
あたしは苦笑いでしか笑う事が出来ない。というか上手くこの場を和ませなくてはと思いつつも、
「…ま、まぁまぁ」
あたしが言えるのはこれだけ。
「内緒にしてって言われてたんだけど…
夏祭りの日、誕生日なんでしょ?」
「…っあ!?
もしかして翔太くん…」
「ん…本当はその日、夕方ら辺にバイト終わるらしくて、その後にプレゼント買ってお前ん家に行くとか考えてたみたいだけど、
よく知らないけどずっと前からプレゼントしたい物があったとか…?」
そういうことだったのか。
なんて感心しつつも普段よりも断然長く続けて喋った樹に少し驚く。
「…で、でもあたしにはバイトだから無理だって…言ってたもん」
「驚かせたかったんじゃないの?」
「そっかぁ、だから翔太くん…っ」
あぁ、なるほどとあたしは樹に相槌を打ち、再びチラリと美菜の顔を見た。
「じゃぁ、あたしが悪かったんだ…
…ごめんっ!!ちょっと行ってくる!」
咄嗟に立ちあがって美菜はそう言う、けどあまりにも早い行動力に驚き…
何も言えないよ、と苦笑い。
そして急いで机を掻き分けるようにして翔太くんの所に走って行った。
そんな美菜を見て何だか安心。
「…樹、優しいね」
翔太くんに勢い良く飛び付いた美菜を見届けた後、
身体を樹の方に向けてあたしは言った。
なかなか樹にしては、珍しいくらい良い人だったかも…
とか言ったらきっと不機嫌になるかもだから、止めておこ。
「別に、何かあれじゃ翔太が可哀想だったから」
そっけなく無関心に樹は言うと、視線を窓の外に送る。
「…素直じゃないねっ」
「はいはい」
短くそう一言だけ言うと、
樹をジッと見つめていたあたしをチラッと見て、いつもの不敵な笑みを浮かべて見せた。