君は僕のもの
夏祭りの前日。
あたしは美菜と二人で、久しぶりに学校の近くにある喫茶店まで来ていた。
美菜は最近、ダイエットだとか何だとかよく分からないけど…、
ウーロン茶にハマってるらしくて、…だからそれしか飲まない。
…全然スタイルいいのに。
そんな“ダイエット”なんて言葉が微妙にあたしの胸をチクチク…と。
だってあたしよりも背の高い美菜のがスタイル良いんだもん。
なんて、そんなことを思ったりするけど。さ?
「…それでねっ?結局やっぱり夏祭りは美菜の家で二人で過ごす事にしたのっ!」
とても嬉しそうに美菜は目尻を垂らして笑い、一口だけウーロン茶を口にする。
何で美菜は『あたし』と『美菜』っていう呼び方で自分を呼ぶんだろ?
…あ、でもそういえば昔からそうだったな。
「そっか、その方が楽しめそうだよね、大事な誕生日だしさ!!
でも…本当二人が仲直りしてくれて良かったよぉ」
あたしがそう言うと美菜はケラケラと笑って、
「ありがと、何か矢上にも助けてもらっちゃったね」
「…ふふ、樹は本当優しいんだから」
そう言ってあたしが顔を緩ませると、美菜は少しだけさっきとは違う笑みを浮かべ、
「そういえばさ?
…愛梨たちってどこまで進んでるの?」
「え、…どこまでって…?」
飲もうとオレンジジュースに手を伸ばそうとした瞬間に、その伸ばそうとした手を躊躇してあたしは聞き返した。
「キスまで?それとももうヤッちゃった?」
平然と真顔で美菜は言うと、あたしに答えを求めているのか、グイグイと強引に詰め寄ってきた。
“こういう話”は、前から美菜の得意分野。
そしてあたしの苦手分野。