君は僕のもの




人気のない神社の裏に連れてこられたあたしは、急に掴まれていた腕をバッと離され少しだけよろめく。



「…何なの?」


突然あたしを連れ出して何を言うのかと思えば、樹はあたしにそんなことを言う。

そんなこと、あたしの方が聞きたい。



「何なのって…何が?」


樹の言っている意味がまったく分からない…



何でそんな不機嫌なの?

…あたしのが今日の樹に対して疑問ばっかり浮かぶよ?



「お前も…あの変な男も」


苛々しながら樹は近くにあった木で造られてる古びた階段に腰を下ろす。


「あたし何かした?それに…佐藤、先輩?あの人だってあたしのこと…「それがウザい」」

あたしがまだ話しているのにも関わらず、
その言葉を遮るように樹は言葉を発した。それも低く冷たい声。



「…お前分かってないんだよ、

どうせアイツのこと良い人とか思ってんだろ?お前」


樹の視線そのものが冷たくて。

何だか泣きそうになる。



「だって…あたしが悪かったのに『大丈夫』って言ってくれて、
しかもハンカチまで貸してくれたのに、良い人じゃないなんて誰も思わないよっ」


いつもならきってすぐごめんって謝っちゃう…

けど今回のあたしは違った。


だってあたしは何も悪いことなんてしてないもん!



「あっそ…じゃぁ勝手にすれば?

もう帰ろ」




樹のその一方的な一言で、あたし達は自然と家までの道を歩き、

でもその間も二人の間に会話はなかった。


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