君は僕のもの
全ての授業も終わったし帰ろうかなとか思ってたけど、
何か今日は俺の掃除当番の日だったらしくて、仕方なく教室の掃除に取り掛かる。
…と言っても、
ただ、ほうきを持って突っ立ってるだけ。だけど。
愛梨もう帰ったなぁ…
そんなことを思いながら教室の時計を見る。
きっとアレじゃ、帰るよな。
その時、
教室のドアが音を立てて開いた。
俺の他に誰も居ない教室だからこそ無駄に心臓が跳ね上がる。
だけどその心臓の跳ね上がりは更に高まって、音を立てるようにして波打った。
「…、」
少しだけ下を向いて、こっちを気にするように少しずつ俺の方へ歩いてくる。
「愛梨」
俺がその名前を口にしてから、少しの沈黙が教室の中で生まれた。
「…何、してんの?」
上手く何を言えばいいのか分からなかった俺は、
とりあえずの言葉を探して口にしてみる。
「な、何って、その……うん」
…よく分からない。
「あっそ」
本当はコイツに言いたい事も、聞きたい事もたくさんあったのに…妙に素直になるっていうのが苦手な性格で。
だから、なおさら『ごめん』なんて言えるわけない。
「あっそって…」
そんな悲しそうな顔すんな。
…だって、
お前、俺に怒ってんだろ?
つか…
「アイツは何なの?」