君は僕のもの
「ね…ねぇ!!」
家までの道を歩いている最中、
俺に手を引かれていた愛梨の身体が急に止まった。
「ん、?」
「こないだから樹変だよ…あたし…、何かしたかなぁ?」
不安げで、今にも泣きだすんじゃないかってくらいの表情で俺を見ていた。
「別に…、」
言えるものなら…言いたいけど。
「あたしのこと、もう嫌い?」
何でそうなる。
つか、あー泣いてる…
こんなつもりは無かったのに、いつも泣かせてばっか…かも。
「…また泣いた」
「嫌いなんだっ!」
だから俺がいつ嫌いって言ったんだよ…
コイツのよく分からない思考には少し…いやかなり驚かされるな。
「好きだよ…好きだから困ってる」
少し笑いながら愛梨の頬にこぼれ落ちる涙をワイシャツの袖で拭う。
お前のことが本当に好きじゃなかったら、
こんな些細な事で困ったりなんかしないし。こんな事、考えたりしない。
「困ってるって…何を?」
そう聞かれると、
何か上手く答えることが出来ない。…けど。
「いや…まぁ、」