君は僕のもの
…愛梨Side




あの日からあたし達は少しだけギクシャクして、今日こそは樹とちゃんと話をして謝ろうって思ってたのに…


結局こんな泣いて樹を困らせちゃって。




…で今、


何故か樹のベッドの上にいて、あたしの上には樹がいる。



いくらあたしでもこんな体制になれば涙だって止まってしまう。

“動揺”ってものをしてしまう。わけで…





「い…いつき?」


少しだけ樹のこと見上げるようにそうあたしは言った。




「別に…お前が嫌いなわけじゃない、それに面倒くさいわけじゃない」


あたしの髪を撫でながらそう言う。


 
久しぶりに樹に撫でられたこの感覚が、妙に心地好い…




「じゃぁ…どうして怒ってたの?

…それにあたしが英二先輩と一緒に帰ったのも、何も言わなかったし…」



それって本当は何とも思ってなかったってこじゃないの?

あたしのことなんて…どうでも良いんじゃないの?




でもたしは本当に樹が何で怒ってたのか分からない。

樹を怒らせるようなこと何かしたのかなぁ…


とか思ったりするけど、

考えたって見当たるわけないよ。





「言いたくなかったけど…」

そんなことを考えていると不意にそんな声が上から降ってきた。



何…?


「…ムカついたんだよ、お前が男にヘラヘラしてるから」



少し伏し目がちに…しあたしから目を逸らして樹はそう言う。



「…やきもち?」


そんな樹にこんな言葉を無意識に発する。


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