君は僕のもの
樹の柔らかい髪が頬に当たって何だかんだくすぐったい。
「…もうアイツと関わるなよ、つかむしろ近付かないで」
子供が何かをねだる様な…そんな愛しく思ってしまうような表情で樹はあたしに言う。
でも…
さすがに急にそんなことができるわけない。
そもそも樹が思うほど英二先輩は悪い人じゃない。むしろ良い人だとあたしは思う。
「ん、でも急にそんな…悪い人ではないよ?本当に」
きっと樹は誤解してるだけなんじゃないかな?
ちゃんと先輩と話したことがないから…だからそういう悪いイメージしかないんだと思うけどな。
…なんて、能天気なことを考えていた。
「俺は嫌い。あーゆう善人ぶった奴」
断固として樹はあたしの意見に賛同することもなく。
むしろ更に嫌そうに、あたしのことを見る。
「でも…、優しいよ?」
「つかそうゆうのがムカつくんだって」
樹はそう言ってイっとあたしの顎に手を添えて上に向けると、そのまま強引にあたしの唇を塞いだ。
それは噛みつくようなキス。
まるで唇を食べる様なそんな深い深いキス。
「…樹っ……ふぁ…んっ…」
あたしの口から漏れるそんな声に、樹は悪戯に笑ってみせる。
「エロイ声」
いつもの余裕な表情をするとあたしの口元を親指で優しく拭った。