君は僕のもの
「何?」
部屋のドアを開けながら、苛々している雰囲気全快モードで樹は言う。
そしてそんな冷たい態度を樹にされた人。
つまりそこにいたのは…
「響さん…っ?!」
「…あ!愛梨来てたの?
何か聞いたよ?…やっと付き合ったんだってね、2人」
楽しそうにケラケラと笑いながらあたしにそんなことを言う“響さん”。
「…で、何?」
そんな明るい響さんとは対照的に未だに俄然苛っとした口調と態度を取り続ける樹。
「マジ愛想悪いよね〜
…愛梨もよくこんなのと付き合ってられるよ」
そう言って響さんは人懐っこい笑顔をあたしに向けると、
樹を押しのけてベッドまで来ると隣にドサッと腰を下ろした。
「…っ?」
あたしの頭の中は『?』のマークでいっぱいになる。
するとゆっくりあたしの方へ手が伸びて、
その手は胸元に近づく。
…っえ?!
「ワイシャツのボタンはちゃ〜んと閉めようね?
あ…ついでに中の方もホック、した方がいいかな?」
「…っ!!」
あたしのワイシャツのボタンを閉めると、ここは樹に似た悪戯な表情であたしに笑い掛ける。
そんな仕草に思わずあたしの心臓は高鳴って。
妙に顔が熱くなっていくのが分かった…
でもやっぱり。
響さんのこんな表情を見ると、
“やっぱり似てるな”なんて思う。
中身は真逆だけど。
そしてそして…
こんな事をされて、このお方が黙っているわけもなく。
「触るな寄るな近付くな」