君は僕のもの
「…そんな、おもちゃを取られたような顔しちゃって」
響さんはクスッと笑って、樹に向けて軽いウィンクをする。
ウィンク上手!
…だなんてどうでも良いことを思ってしまう。
「気持ち悪ぃんだよ」
それに対して即答で答えると『ひどいな〜』なんて言って響さんは笑う。
「…でも、響さんどうしたんですか?
大学…は??」
そうあたしが聞くと、
また響さんは人懐っこい表情であたしの傍まで来て、
「愛梨に逢いに来ちゃったの〜!…なんてね、
お袋が顔見せろってうるさいから帰ってきたの」
ちょっとばかり困ったように眉毛を八の字にして、
「おしっ!!
…樹に挨拶もしたことだし戻りますか!」
何だか勝手に一人で響さんが話をまとめた感じがしたけど、
そのまま部屋から出ていくとドタドタと階段を駆け下りていく音が聞こえてきた。
「…何だったんだろ?
でも良かったぁ!!その…アレ…見られなくて」
一人で恥ずかしがったまま、樹の顔色を伺うと…
…ん?
「良かったね…じゃねぇだろ」
不機嫌そうに樹はハァっとため息を吐いて、そのままベッドにドサッと寝っ転がった。