君は僕のもの
樹の後ろ姿を少しばかり拝むように見てから、あたしも自分の席へ向かう。
何か最近、色んな事が起きすぎな気がする…。
「…ハァ…っ」
椅子に座るなり、そんな不幸なため息。
するとそんなあたしのため息に反応したのか、
翔太くんが後ろを振り返った。
「また何か問題ですか?」
その表情はどこか楽しそう。
何だかんだでさりげなく、
あたしの前の席は翔太くんだったりする。
「…面白がってない?
翔太くん、」
ちょっと不満そうにあたしが言う。
「違うっ!違うってば!
…何か、愛ちゃん考え事してるっぽいし、それに樹も」
そう言って翔太くんは、樹の方を指差す。
その指の先を見てみれば、
「今日の樹くんは不機嫌、…ですね」
また笑いながら翔太くんは言う。
そこには足も、腕も組んで苛々した表情をした樹がいた。
…そのせいか、
いつも樹を見ている女の子達もそんな姿に少しばかり、おどおどとしていた。