君は僕のもの
『お~い…』
後ろでそんな声が聞こえて、廊下でこんな大きな声に呼ばれた人は恥ずかしいだろうな…
なんて思っていると。
『…お前だよっ!!』
そう言ってグイッとワイシャツの襟を掴まれる。
「うえっ…っ!?!?」
っ、あたしですかっ…??
そんなあたしの心の声が聞こえたんだろうか、…その声の主はまた言う。
『これ、資料室に持ってっといて』
う゛…っ!!
そのままチラッと顔を覗けば…、まさかの担任。
「…あ、でも…っ、」
掃除当番が終わって、教室に帰る途中だったから樹、きっと待ってると思うし…
『すぐ終わる、持ってくだけだから…
…まぁ、頼んだ~』
担任はそう一言だけ残すと、その教科書など資料の数々をあたしに押し付けた。
「ちょっ…?!…」
一人取り残されたあたしは、ハァっと溜め息をついて、そのままその無理やり渡された資料を持って廊下を歩き出した。
そして、こんなことを引き受けたせいで、少しだけまた問題に巻き込まれるとも知らずに。