君は僕のもの
…樹side




遅い。


今日は何か、廊下の掃除当番だから待ってて、…とか言ったくせに。



もう結構、時間経ってる気がする。





どっちかって言うと、人を待つっていうのが嫌な性格。

だから、こうやって待ってることが出来ない。



…普通なら何も言わないでそのまま家に帰るけど、


愛梨にはそいうわけにもいかない。





「…ったく、」


仕方なく俺は愛梨の席に向かって鞄を持つ、…仕方なく。仕方なくな。




そしてそのまま教室を出ると、愛梨の当番になっているはずの廊下に向かった。





…あれ、いない。


そうおもった俺は、近くにいる奴に話し掛ける。




「…ねぇ、愛梨知ってる?」



「あー、桐島?…なぁ知ってる?」

「…ん、あっ、さっき担任になんか頼まれてたっぽいよ?…資料運べとかなんとか、」



そいつ等はそう言うと、そのまま歩いてどっかに行ってしまった。





…それより、



またアイツそういうことしてんのかよ。




頼まれたら断れない性格は、まだ直ってねぇのな。



< 155 / 252 >

この作品をシェア

pagetop