君は僕のもの
何もされなくて良かった…、
緊張の糸が解けた俺は、その場にしゃがみ込んだ。
「…い、樹?」
急にしゃがみ込んで頭を抱えている俺は、愛梨にとって不思議で仕方ないんだろう。
ふと上を見上げてみれば、『どうしたの?』なんて言ってくる。
どうしたのじゃないだろ。
「本当…、冷や冷やさせないで…」
「…ん、ごめん、ね?」
そんな顔で言うなよ…、何か許してもいいかな?なんて思ってきてしまう。
俺はそのまま立ち上がると近くにあった椅子に座った。
ハァっとため息をつく。
最近色んなことがありすぎだろ、本当に…。
「…愛梨、こっちきて」
少しだけ微笑んで、こっちへ来るよう愛梨に手招きをする。
「なにっ?」
まったく危機感も持たずに、言われるがまま俺の側まで来ると、
「いーつーきーっ!!」
なんて言ってくる。
「…俺、許してないからね」