君は僕のもの
「…そっ!?!?…そんなんじゃないよぉ!!」
あたしは立ち上がってそう言うと、苛っとしながら樹が持ってきてくれた鞄を手に取った。
「そのままでいいの?」
またあの悪戯な笑みを浮かべて、あたしを指差す。
…あ゛っ?!?!?!
心の中でそんな声を上げる。
「…ん、」
樹がいるのが何だか気になって仕方がなかったけど…、後ろを向いてブラのホックをする。
…けど、
上手くいかない…っ!
こんな時に限って手は滑ってしまうものだ。
「…手、どけて?」
後ろからそんな声がしてあたしの手が止まる。
その隙に、あたしの手を払い除けて樹がホックをしてくれた。
…んー、してくれたって言うのは、なんだかあたし的には違うような気がする。
「お礼は?」
「あ…、ありがとう」
って、
言ってるそばから言わされてるし。
そんなあたしを見て樹はクスクスと笑ってみせる。
そしてあたしよりも先に教室から出ていった。