君は僕のもの
第四章 伝わるもの

夏と言えば?

…樹side




あの日、先制布告をしたのにも関わらず、…未だにそれを果たせずに、もう時間が経った。


そして明日からは、愛梨の大好きな夏休み。





今週はずっとどこに行きたい、何をしたいだのうるさくて、俺は『はいはい』と相槌を打ってただけだけど…。






「…明日から夏休みだよっ!!

ねぇ樹、どこ行く?楽しみだねっ」


「あー、うん」


いつもこんな感じ。





「愛梨達は、…何か予定とかあるの?」


「…ん~、あたしが勝手に言ってるだけで…、多分、樹は行く気も何も無いと思う」



少し俯き加減で愛梨はそう言うと、早川の目はこっちに向く。






「あ~あ、愛梨ちょー可哀想っ」


「愛ちゃん可哀想~!!」



翔太も早川に便乗して、結局は俺だけが責められる。



ったく…、





「じゃぁさ…?何?俺に何をしろって言うの?」


少しぶっきら棒に俺がそう言えば、三人の表情は全員一致の満面の笑み。




…あ、


やられた。



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