君は僕のもの
「…大体何で、俺が行かなきゃいけないわけ?」
今日は珍しく愛梨の部屋で、ベッドに座りながら俺はそう言った。
「だって…、行きたかったんだもん…」
さっきまで元気だったくせに、
急にシュンとしながら愛梨は少し悲しそうに言う。
…すぐそういう顔をする。
俺は愛梨のそういう表情に弱い、それに…、こういう表情に男が寄ってくるってコイツは分かってんかな?
「やっぱ…、行きたくなかった?」
…ん、
「いいよ、別に」
仕方なく、っていうわけではないけど…、俺は愛梨に甘い。
「本当っ!?!?」
「…ん、」
そう短く言うと、俺は愛梨の頬にそっとキスをした。
案の定、すぐ顔を真っ赤にして俺がキスをした頬を手で覆うように触っている。
「もう帰るねっ」
そう言って少し愛梨に笑い掛けて、そのままいつものように部屋から出ていった。
俺が何で愛梨に手を出せないのか、…それは、まだ愛梨の心の準備ってゆうか、そういうのがまだな気が…、するから。