君は僕のもの
…っ!
な、なんでこっちに来るのですかっ!?
もう日本語もおかしくなるくらい、あたしはいつもと違う樹にドキドキしていて。
「…ふはっ、お前さぁ、…意識しすぎだよマジで」
掌の甲を口元に当てて、珍しく樹が少し吹き出すように笑った。
「そっ?!…意識なんかしてないよぉ!」
「なにムキになってんの?」
今度はクスクスと笑いだす。
「…何で笑ってんのっ!」
あまりにも馬鹿にしたように笑うから、あたしも少しムッとして言い返す。
「はいはい…っ、つかさ…」
クスッと笑ったあといつもの冷静な表情に戻って、
「…それ、どうにかなんないの?」
また何かを指差したと思えば、
…ん?
「これって…、あたし?」
樹が指差したのは他でもなくあたしで、その指はあたしの胸へ向けられている。
…もしかして、スタイルが悪いとか?
だからこんなの着るな、ってこと?
「別にスタイルとかじゃないけど…
何かパーカーとか着てよ、」
あたしの心の声が聞こえたかのようにいつもの不機嫌そうな表情でそうあたしに言うと、あたしが持っていたビニールの鞄に手を伸ばした。