君は僕のもの
しばらくの間だけ固まった後、正気を取り戻した俺はソレをどうするか考えた。
でも、何でこんなの持ってるわけ…?
本当にマジで。
「……ん…っ、」
隣から突然こんな声が聞こえて、思わずビクッと身体を強張らせる。
ヤバいだろ…っ。
そう思った俺は咄嗟にアレを、水着のポケットに閉まった。
「寝てた…っ?」
眠たそうにしながら、化粧が崩れないように気遣って目を擦る愛梨。
「…あ…っ、少しね…」
そう言って俺は愛梨の頭を撫でる。
「ごめんねっ、…帰ろう~」
寝起きでフラッとしながらも愛梨は立ち上がると俺の腕にしがみついた。
チラッとこっちを見て笑う愛梨を見て、
…やっぱり別にいつもと変わんないな…、なんて思って。
「…樹?…行かないの?」
キョトンとした表情で愛梨は言うと、俺の腕を少し引いた。
「…あ、…行く」
少しだけ愛梨に笑い掛け、そのまま愛梨に掴まれてる腕を少し離して、指を絡めるように手を握る。
そうすると愛梨は嬉しそうに笑った。