君は僕のもの
「…あははっ!!教えてあげるよ~、
何かねぇ…、こないだ美菜の家に行った時にポロッと言ってたんだけど…」
翔太はそう言うと温泉のお湯を手にすくい、顔に少しかけた。
「何かねぇ…、
今回のこの“一夏のサマーバケーション”は、愛ちゃんのためらしいんだよね~」
別に『一夏のサマーバケーション』って言う必要があるのか、…とか思いつつも。
ちゃんと話をきいている。
それより何で愛梨のため…?
「…どういうこと?」
つかさず翔太の顔を覗きこんで言う。
「いやぁ…、俺もよくは分からないんだけどさ?
だからすっごい、ホテルの事も頼まれてさ~、…ま、親父に言えばどうってことないんだけどね~」
何だそれ?
コイツは、肝心な部分をいつも言わない気がする。
急に翔太は立ち上がり『熱い熱い!…のぼせたよぉ』なんてヘラヘラして、
「愛ちゃん、色々気にしてるとか…、なんだとか?
とにかく聞いてみなよ、愛ちゃんにさっ」
そう言って、翔太は何も隠さずにそのまま風呂を出ていった。
…愛梨に聞けってこと?
「あー、…のぼせる…っ」
一人でそう言うと、俺も翔太に続いて風呂から出た。