君は僕のもの
…泣いてる?
俺、なんかした?
「どうして泣いてるの?」
できるだけ優しく、
俺はそう愛梨に聞いてみる。
「本当は…っ、不安だったの…不安で…
…っ樹、最近あたしに…、キスして…っ、くれないからあたしのこと……っ」
泣いてるせいで途切れ途切れになってうまく聞こえない、
けど…、
『あたしのこと…』の先は聞きたくなかった。
だからギュッと思い切り精一杯の力で愛梨を抱き締めた。
「…それ以上、
それ以上言ったら許さないよ」
抱き締めて、愛梨の頭をグッと自分に引き寄せて俺はそう言った。
「…でもっ、…付き合って三ヶ月以上経つのに、
その、…えっちしないのはおかしいって…、だからあたしのこと、…うん」
さっき俺が言うなって言ったから、きっと気にしてそれ以上は言わなかったんだろう。
…つか、
やっと翔太がさっき言ってたことが分かった。
早川に吹き込まれたのは、こういうことだったわけね…