君は僕のもの
―ガチャッ、
「…おっせーんだよ」
外に出るなりあたしの前には、家の塀に寄り掛かり足を組みながらこっちを睨みつける、
“男”が約一名。
「ご、ごめんなさい…」
くっそぉ…、と思いながらも何も言い返すことのできないあたし。
「ごめんねぇ~っ
この子、相変わらずドン臭いしトロいし…
…もうまったく!!」
お母さんはケラケラと笑いながら、樹のお母さんの智子さんと並んで話し出した。
確かにあたしはドン臭いし、…トロイかもしんないけどさ!?
…そんなこと言わなくたっていいのに。
「ほんっと、トロいね、
…お前って」
横目でチラッと見ながら馬鹿にしたようにあたしにそう言った。
「…すいませんね」
キッと睨みつけ言葉を吐き捨てると、あたしはそのまま駅に向かって一人、早歩きで歩きだした。
そうなんです…
あたしが何故今まで彼氏という存在が出来なかったか。
その原因は、全てこの男にある。