君は僕のもの
「楽しかったね!!」
さっきまでの不機嫌な表情とは裏腹に、満面の笑みを浮かべて俺に話しかける愛梨。
「…さては、
昨日、楽しく過ごしちゃったんだ?」
俺の後ろにいた翔太が、急に俺の顔の目の前に現れてそんなことを言う。
うっざいなコイツは。
「アンタさぁ、空気読みなさいよねっ!?」
パシッと乾いた音が響いたと思って見てみれば、翔太がおでこをを抱えてうずくまっている。
「…馬鹿だろ、お前」
見下すように翔太を見て、鼻で笑うように俺は笑った。
「あーっ、
もうすぐ駅着くよ?」
さっきの会話はまったくコイツには聞こえてなかったみたいで、
「そうだね」
俺は優しく愛梨に笑いかけながらそう言う。
「『そうだね』っだって~
俺にもそういう優しい言葉づかいしてよっ」
「何で?」
即答でそう答える。
「今度は『何で?』だってさぁ!
…態度違ぇ~!!」
「うるさいんだけど」
早川の言葉で、ようやく翔太はおさまり始めた。