君は僕のもの
「…そんな余裕な表情しちゃってさ〜
矢上が余裕無くなるとこ、見てみたいもんだよねっ」
そう言って嫌みな表情で俺を見る。
「余裕ね…」
何だか笑えてしまう。
…そこまでいつも余裕ってわけじゃないのに、
ま、それでも別にいいけど…
「…美菜ちゃーん!
俺ん家おいで〜」
後ろから聞こえる、馬鹿な奴の声。
「行くーっ!」
俺の隣にいた早川はクルリと後ろを振り返ると、そのまま翔太の腕に絡み付く。
「美菜に叩かれたとこ、めっちゃ痛いっ」
子供みたいな口調でそう言うと、翔太は早川に何かを要求しているように見えた…
さりげなく、その二人を見ていると、
突然、翔太の額に軽く早川の唇が触れたのが分かった。
「ごめんね?
…早く、お家…、行こ?」
あの声はどこから出てるわけ?
つか、“お家”って…
そんなことを思っている間に早川たちは『ばいばーい、またねー』とか言って、
曲がり角を曲がって行った。
その曲がり角の先には、
でっかい豪邸みたいな家があって。
そこが翔太の家。