君は僕のもの
「あっそ、」
俺は素っ気なくそう言うと、翔太に向けていた視線を空に移した。
「…あっ、でも今年は何か景品が出るんだってさ!
その~、学年1位の奴がいるクラスに」
突然ウキウキした表情に変わって翔太は、俺に無理矢理に視線を合わせる。
「…何?」
少し身を引きながら聞く。
「なんとっ!!駅の側の焼き肉屋の割引券!…しかも人数分で、ほとんどが半額だぜ?
…しかも、それだけじゃなくて!遊園地の無料券も人数分!」
『こりゃ~ヤバい!』と、何度も何度も連呼して翔太は言うと、また再び俺の顔を覗くように見る。
「今度は…、何?」
引きつった顔で俺は聞く。
「…俺、焼肉食べたい」
だから…?
「食べに行けば?…バイトしてんだろ、金あるじゃん」
「…バイトは社会勉強だもん!」
子供みたいに翔太は言うと、俺に何かをねだるように、
あー、コイツの言いたいことが分かってきたような気がする。
「美菜と遊園地、行きたいなぁ~っ」
…んだよ、コイツ。