君は僕のもの
時間は帰りの時間になって、翔太には、
「ちゃんと愛ちゃんに説明するんだぞ~」
なんて呑気なことを言われて、頭の中じゃ『ウザい』と思いつつも何も言わないでその場を立ち去った。
…あー、どうしよ。
「…樹、帰ろ」
どうやって話を切り出そうか考えていると、愛梨がそう声を掛けてきた。
でも何か、いつもと違う…
俺の目を見ようとしない気がする。
家までの道を歩いてる時も、いつもなら今日こんなことがあったとか、今度のテレビに亮が出るんだとか。
くだらない話を聞かされてて…
でもそれが楽しくて笑って俺はそんな愛梨の話を聞いて。
だけど…、
今日は何故か一言も愛梨が話そうとしない、…それどころか歩くスピードがいつもより速い。
「何かあった…?」
俺がそう聞いて数秒してから、
「別に、」
と、俺の顔を見ることもなくそう言った。
別に、じゃないだろこれは…
もしかしたら…、なんていう俺の想像は見事にこのあと的中するわけで。