君は僕のもの
テーブルの側で愛梨と翔太が話してるのが見えて、
そのまま翔太は何かを言い残して愛梨から離れて早川と話し始める。
…すると、
愛梨と視線がぶつかる。
「…っ、」
布巾を持ったまま黙って下を向く愛梨。
すぐ側に居るのに、この距離を埋める事が出来ない…
「…愛梨っ」
生唾を呑み込んでから愛梨の名前を、声を出して呼んだ。
「…うん、」
少し伏し目がちにだけどそう言って、
「ちょっと…、いい?」
「うん…」
愛梨のその言葉を聞いて、そっと手を差し出す。
するとゆっくり愛梨の手が俺の手に重なり、
その重なった手を、俺はおもいきりギュッと握った。
「空き教室あるから、
…行こう?」
少し微笑んで俺は言うと、そのまま愛梨の手を引いて教室を出た。
…俺がここまで強引にしないのは、
初めて…?
でもないけど、珍しいことだったような気がする。