君は僕のもの
…愛梨Side




あの後、何回も樹が話し掛けてくれたのに、あたしはなかなかうまく話せなくて…


結局あたしたちの溝は深くなってく一方で、




「…まぁ、矢上も矢上だけど、

愛梨も良くないんじゃないかな?…あの矢上があれだけしてくれてたのに、…さ?」



あたしに気を使いながらも美菜はそう言って更衣室にある椅子に座る。





そうだけど、…でも。



「けど…、あたし何も知らなかったんだよ?」


「…矢上は話そうとしてたと思うよ?

愛梨に内緒で何かするようなタイプじゃないでしょ矢上は」




…まぁ、確かに。


でもやっぱり…、

あぁゆうのに出て“嬉しい”って思う子もいれば“嫌だな”って思う子だっている。






「…あ、もう時間だから行かなきゃっ!」


更衣室の中にある時計を美菜は確認すると、あたしの腕を引いて急いで更衣室を出た。





「素直が一番、…だからね?」


教室に入る直前に美菜があたしに言った言葉。




素直が…、一番、かぁ…。




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